習志野市内には古い寺院が点在している。約9.5キロの道のりで「習志野七福神」を同市の歴史と共に巡ることができる。今回は同市にある七福神を巡り、古刹(こさつ)を紹介する。
七福神を巡礼することで、「七難即滅、七福即生」のご利益があると伝えられている。「七つの災難」(太陽の異変、星の異変、風害、水害、火災、干害、盗難)がすぐに消え、「七つの福」(長命、有福、人望、清簾、愛敬、威光、大量)が生れるということで、経を読み、神仏を信仰した功徳によって災いが福に変わるという。
▽西光寺の毘沙門天 右側のQRコードを読み込むとスタンプ画像が表示される
「今は歴史的な面影はないが、明治時代に寺子屋があり、谷津の地域の子どもたちが通っていた寺。観光などで来る方はめったにない。秋になると彼岸花が咲くのが、この寺の魅力」(西光寺住職)
「昭和の初期に放火に遭(あ)い、資料がほとんどなくなってしまっている。市内で一番古いといわれる1637年の墓がある。同寺を参ると目の病気にいいという言い伝えがある。庭にある大きなイチョウの木は、いつからあったか定かでないが、保管していた絵図にも描いてあった」(東福寺の住職)
珍しいことにペットの供養があり、「ペットの供養塔もあり、近年では行き場のないペットたちもいる。保管するといっても大変。ここで供養できるように建てた」という。
「一度火事になり、記録が残っていない。他の寺院と同じようにその時々、正月であれば初詣などの行事がある」(東漸寺住職)
京成津田沼駅の南口から商店街のワイガヤ通りを歩いていくとある寺院。除夜の鐘がなる寺でもあり、マナーを守り参拝するよう注意書きを貼り出す。元朝護摩は規模を縮小して行い、参列は護摩札の申し込みが必要。祈とうの際には注意が必要。
「560年近く室町後期からこの寺はあり、鷺沼小学校の前身となった寺子屋から大体150年の歴史がある」(慈眼寺住職)
京成津田沼駅から市役所、鷺沼小学校を目指して歩くか、東漸寺からであれば、国道14号に出て、千葉市側に歩き、途中の小道を入り寺院を目指す。「習志野市こどもセンター(鷺沼)」のすぐ近くにある。この寺も住宅が密集する場所にあり、古い街の中にある寺ということが分かる。
∇正福寺では古い布袋尊は焼失してしまったが、新しくなった布袋尊を祭っている
「江戸時代以前から続く寺だが、現在では境内が道路により分断されてしまった。元の本堂は、観音堂や藤崎の寺子屋で近隣の村々の子どもを教えた久保田伊三郎の弟子が建てた筆子塚にあったが、今は道を挟んだ反対側に移された。1915(大正4)年から1941(昭和16)年まで本堂を利用した私立弘文学校が当時の住職、祖父の川嶋晃阿さんによって開かれていた。この寺は津田沼と大久保の間にあり、昔は境内で盆踊りなどもしていた」(正福寺住職の母)
道で分断された間には同市指定天然記念物の大イチョウがある。元は正福寺の境内にあったものとされている。寺院の周りには桜の木があり、「春には桜を見に参拝する方もいる」とも。季節感あふれる古刹であると分かる。
∇元の本堂に残される、江戸時代から続く「蟇股」(かえるまた)と呼ばれる彫り物
∇薬師寺寺院(大久保1-17)
∇薬師寺の弁財天が祭られている
場所は、京成大久保駅北口商店街「ゆうロード」を歩いていくと、入り口がある。山門まで歩く途中には六地蔵が立っているのが特徴。「この寺には、確証はないが推定100年位の御神木のエノキがある」とも。
∇推定100年ほどの御神木のエノキ
各寺院では、巡礼を記録するスタンプを押印できるが、厳かに参拝し、ご利益を頂く必要がある。近年、境内のペットボトルや空き缶などのごみ問題や、参拝の際のマナーが問題視されているという。「このままではスタンプ押印自体、断るようになる可能性がある。スタンプ押印を目的とされている方は、習志野市のホームページの注意書きを見てほしい」と呼びかける寺院もあった。
スタンプ押印には公民館や役所で入手するか、市のホームページから入手できる色紙が必要。開催は1月=元日~3日、以降、毎月7日のみ。今年1月1日からは、七福神巡りがスマートフォンでも楽しめるようになっており、各寺院に設置された二次元バーコードを読み込むと実際に押すスタンプの画像が入手できる。
市内にある七福神巡りを行う寺院はどこも古刹のため、近隣は閑静な住宅地。正月三が日、市内の古刹を巡り、歴史を感じながら「七難即滅、七福即生」のご利益を頂いてみては。