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習志野で1905年創業の「張替酒店」見学会 戦争の名残を今に伝える

コジマユイさんと藤沢うるうさん 左の掛け軸は木堂のもの

コジマユイさんと藤沢うるうさん 左の掛け軸は木堂のもの

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 歴史ある建物を見学する「わくわく建築」が6月18日、張替酒店(習志野市大久保1)で開催された。

ニッポンビールの看板

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 コジマユイさんと藤沢うるうさんが運営する同イベント。2人は「歴史ある建築を見る機会を得て建物に対する愛着を増やし、建物ファンや建物ファン同士のつながりを増やしていきたい。失われつつある歴史ある建築を少しでも生きながらえさせたい」という考えの下、活動している。第1回は1月に自由学園明日館(東京都豊島区)で、第2回は4月に旧銭湯「源ヶ橋温泉」(大阪市生野区)で開催。3回目となる今回は、習志野の歴史を語る会と郷土史家の明里さんとの共催で開催した。

 見学場所となった張替酒店は1905(明治38)年に創業し、現在も営業している酒販店。創業当時、同店は1901(明治34)年に創設された日本初の騎兵旅団の第一騎兵旅団司令部(=現市民プラザ大久保八幡公園)や騎兵第13連隊(=現東邦大学)、騎兵第13連隊(=現日大生産工学部)、第15連隊(=現東邦中学、高校)、第16連隊(=現習志野の森)、陸軍衛星病院(=現済生会病院)の近くにあり、陸軍と深い関わりがあったという。

 映画「硫黄島からの手紙」で渡辺謙さんが演じた、日本軍部隊を指揮した栗林忠道司令官も店を訪れ酒を飲んでいたという。現在も店の奥の和室には第29代内閣総理大臣の犬養毅のペンネーム「木堂」の掛け軸が飾られている。

 見学では、ガイドが参加者を普段公開されていない奥の家屋や、庭、蔵まで引率した。家屋の床の間では貴重な黒柿の装飾、2階では金箔(きんぱく)が使われている天袋や富士山の装飾のガラス戸を見て回った。酒蔵は日本でよく見かける土壁やしっくいでできた土蔵ではなく、木造建築技術で作られた板蔵。庭先には防空壕(ごう)で使われていた鉄製の取っ手や「ニッポンビール」(=サッポロビールの前身)、「チキンソース」の旧書体の看板が残されている。参加者は撮影したり、ガイドへ質問したりしていた。

 コジマさんは「開催前に下見をさせてもらったが、外観からは分からない奥行きや酒蔵、庭園、急な階段、しっくいの壁など歴史を感じる素晴らしいものがきれいな状態で残っていて、これはぜひ見てほしいと思った。建築は固いものじゃなくて、かわいいポイントもいっぱいで、写真映えするようなポイントもいっぱいあることを若い人にも知ってほしい」と話した。

 藤沢さんは「『わくわく建築』は、古い歴史的な建物を中心に公開するイベントをこれからも続けていきたい。古い建物を新しい使い方、新しい道として、どういかせるかチャレンジしていきたい。地域と建物の魅力を盛り上げる手伝いもしていきたい」と意気込みを見せる。

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