千葉工業大学(習志野市津田沼2)の学生が開発した超小型衛星「YOMOGI」が国際宇宙ステーション(ISS)から放出されて、1月9日で1カ月が経過した。
YOMOGIの射出を見守るプロジェクトメンバー(千葉工業大学提供)
YOMOGIが地球の周回軌道に乗ったことで、千葉工業大学は「KASHIWA」「SAKURA」に続く3期連続の衛星の射出と周回の成功となった。
YOMOGIを製作したのは千葉工業大学工学研究科電気電子工学専攻修士2年の大村紬(つむぎ)さん。YOMOGIのメインミッションは「通信」と「撮影」の2つあり、「通信」は千葉の放置林に設置した森地上局からのデータ取得と千葉県御宿町に設置した海地上局からのデータ取得、「撮影」は、赤潮の観測とアフリカの湖の水質調査、それに加えて一般アマチュア無線家へのメッセージ送受信だという。
大村さんは各ミッションについて「赤潮の発生は漁業に影響が出るので、事前に写真を撮って活用できれば。赤潮は赤い波長が出るので、カメラにフィルターをかけて撮影する。アフリカの湖は水質汚染で湖の水が減少しているので、小さい衛星で大きな湖を撮影して観測できれば。放置林は人が立ち入りにくい場所にあるので衛星を中継してデータ送信して、海のデータはサンゴ礁の白化問題の解決をテーマに通信する。YOMOGIはミニマムサクセス、フルサクセス、エクストラサクセスの3段階の達成目標があるが、ミニマムサクセスは無事達成できた」と経過を振り返る。
YOMOGIについて、大村さんは「大学がプロジェクトとして募集していたので申し込んだ。衛星の射出順は3番目だが、大学で一番初めに製作した1期目の衛星。作った機械が夏休みの間全く動かないなど大変なこともあったが、私が作った衛星が宇宙空間で動いていること実感できる瞬間が、とても楽しい。このプロジェクトで私も成長でき、小衛星に関わる職場に就職も決まった。衛星の開発から運用まで一気通貫で経験できるのは貴重なので、興味があれば、ぜひ衛星に関わってほしい」と後輩に呼びかける。