習志野市を中心に、みそをテーマにした人形劇や食育活動を行う「ドレみそ劇場」が、9月15日で結成から5周年を迎えた。
4人の創設メンバーから始まり、現在は市内在住者を中心に11人が所属する同劇場。保育園や小学校、高齢者施設などで公演を続けている。
結成のきっかけは、東金市の小川屋味噌店で開かれたみそのイベントだった。会場を訪れる子どもたちの託児を担当することになった際、「預かるだけではなく、食育につながる紙芝居を披露してはどうか」というアイデアが上がり、同劇場が結成された。アイデアは、もともと個人で食育活動を行っていた越智聡子さんによるものだった。
ところが、何枚もの絵を用意する紙芝居は準備の負担が大きく、武田恵理さんが「簡単な人形を作り、即興の人形劇にしてみては」と企画を変更。創作人形は小野塚博子さんが担当した。こうして生まれたのが、元気な昭和の男の子をイメージした「大豆くん」と、昔の台所を支える母親のような、控えめながら力強い「こうじさん」というキャラクターだった。「みその原料といえば大豆とこうじ。その2つが突然、頭の中に降りてきた」と新井真弓さんは振り返る。
打ち合わせでは、何げなく口にした「大豆くんがおなかを痛くしたらどうだろう」という一言をきっかけに、その場で絵が描かれ、会話が記録され、少しずつ物語が形になっていった。当初4人で始めた活動は、出演者や演奏担当、声優、監督、運営を支えるメンバーなどが加わって、現在の11人体制へと広がった。葛谷弘美さんのフルート演奏を取り入れるなど、それぞれの得意分野を生かした舞台づくりも特徴となっている。
劇団員は5、60代を中心とする女性たちで、普段は主婦や母親として生活している。みそ造りに必要な材料費を受け取る程度のボランティアとして活動を続けてきたが、近年は「人形劇だけを上演してほしい」という依頼も入り、劇団として謝礼を受けて公演する機会も生まれているという。
公演は、みそ造り体験と人形劇を組み合わせる形が中心。市内の保育園や小学校、子ども会、高齢者施設のほか、東京や大分県から声がかかったこともある。メンバーは「越智聡子総監督は、頼まれたらなかなか断らない」と目を細め、「日程が合えばできる限り出向いている」と話した。
小学校では、家庭科や食育の授業に合わせたプログラムにも参加した。児童が4年生でみそを仕込み、5年生になった時にそのみそでみそ汁を作るという内容。大久保小学校などでも人形劇とみそ造りを披露してきた。学校のウェブサイトで活動が紹介されることもあり、子どもたちが大豆やこうじ、発酵について楽しみながら学ぶ機会になっているという。
活動の背景には、食生活の洋風化などにより、家庭でみそ汁を飲む回数が減っていることへの思いがある。「いちにちいっぱいのおみそしる」という演目では、昔から受け継がれてきたみそやこうじの魅力を呼びかけ、親しみやすい物語で伝える。葛谷弘美さんは「私たちが元気で活動していること自体が、みその良さを表しているのかもしれない」と笑みをこぼした。
活動は人形劇だけにとどまらない。みそをテーマにした歌や踊りも生まれ、習志野のアイドルとして売り出しているまいきさんと一緒に「ドレみそダンス」を披露する機会も増え、今では劇団員が自らアイドルとして活動するようにもなった。今後は市内のイベントや小学校などでの公演を予定し、より多くの地域や世代へ活動を届けたいという。
5周年を迎えたメンバーは「みそという大切な食文化を伝えながら、たくさんの人に笑顔や幸せを届けられる活動を続けていきたい」と話す。新井真弓さんは「いつか海外へ、さらには宇宙でも公演を」と冗談を交えながら、次の夢を語る。
小さな人形劇から始まった活動は、5年の間に人と人を結び、地域に食育の輪を広げてきた。大豆くんとこうじさんの物語は、これからも子どもたちに、みそのおいしさと日本の食文化を伝えていく。